ステルスマーケティング

何日か前に、このブログでも、キャスコの原告募集について、言及いたしました。
その相談者から昨日、いくつかのネット上のサイトに、募集のコメントを出したと。
メールにサイトのURLが添付されておりましたが、アウトルックの設定で、メール添付のアドレスからのアクセスは出来ないようになっておりまして(自分で設定したつもりもないんですが)、ググってみました。
まあ、予想通りの反応でしたが、好意的に紹介されているみたいで、ちょっと、ほっとしました。

私は、おそらく、「私が相談者のフリをして、自分の事務所へ顧客が流れるようにしているのだろう」という反応が一般的じゃないのかな?と思ってましたが。

ネットを見ると、そんな情報であふれかえってますしね。明らかにブラックな事務所なのに、「あそこに依頼してよかったー」みたいな掲載がありますし。

そのサイトをご覧になって、おそるおそる、このブログや私のHPにたどり着いた方も、ご自分で判断してください。
HPにも書いてありますが、分からないことはお問い合わせ頂ければよいので。
どんな裁判でも結果を保証することなどできませんので、私としては、別にキャスコを特別扱いしている訳ではないのです。

事件最初からの依頼であれば、選択する手続の費用以外に、申し受けることはありません。いくつかある貸金業者の一つがたまたまキャスコだったから、新洋信販だったから、その他の取引履歴開示妨害業者だったから、という理由で、個別の事件処理費用を先払い頂くことはしておりません(過払いなら、回収してから報酬頂いてます)

でも、サルのつまみ食いの残りだけ依頼という形にすると、本来サルの弁護過誤に一般市民の方の怒りが向けられなければならないのに、それが見過ごされたままになってしまうのは「競争による淘汰」とは違う話になるでしょう。
雑な事件処理で、暴利をむさぼる奴らこそ、真っ先に淘汰されるべきでしょう。
簡単な事件とのバランスで、トータルコストを平均化するということができなくなります。

また、「キャスコだけ」の依頼を受けるということは、キャスコに取ってみれば、他の弁護士ならあきらめてくれたのに、これからは満額請求が来てしまうということを意味するため、私の理論・裁判と真正面から対決しなければならないことになるかもしれない、ということを意味します。
キャスコの事件依頼に「高額の」費用を要するという紹介にされており、なんか私がぼったくっているみたいな印象で思われたらつまんないなーと思うのですが、一応想定している費用は70万円くらいなんですね(原審で50万、控訴審で20万くらい。注:負けることを想定しているんじゃなくて、いずれの結果が出ても控訴審までは行くんでしょうなあ、ということです)想定している裁判の費用としては、こんなもんじゃなかろうかと。
で、ご相談頂いている方が、仮に全員依頼をしたとしても、まだ3分の1くらいなんですよ。
だからといって、この人達だけにその費用を按分してもらったら、着手金として、高額な比率になってしまいますので、端から見れば「何?あの悪徳弁護士」みたいな感じになってしまうでしょう。
なので、結果の保証が出来ない通常の裁判として、ご依頼を受ける。純粋に裁判の手間代として、最小限のスタートを切るためのものです(もちろんうまくいった場合には、成功報酬16%が別途加算されます)。

なお、ネットで検索頂ければと思うのですが、カルテルの問題で、統一報酬基準がなくなった今でも、ガイドラインとして存在する(大半の弁護士事務所が同じ報酬規程を掲げていると思います。当事務所もそうですし、HPでも公開しております)報酬基準に一般民事の着手金・報酬規程があります。
これには300万円以下の経済利益の場合(ほとんどの過払い金返還請求はこの範囲に含まれます)、着手金が8%(消費税別)報酬が16%(消費税別)とされております。
これをトータルすると、経済的利益に該当する過払い金額(請求額)が満額回収できたとして、その回収額の24%になるのはおわかりでしょう。
過払いあさりが横行し、その報酬が馬鹿高いみたいなニュアンスで、過払いは完全成功報酬制で25%を上限とするという日弁連の通達が出されました。
でも経済的合理性で言えば、私は、後で一括して25%よりも、着手金先払いで、残り報酬で24%の方が弁護士にとってははるかにお得だと思っています。着手金は請求額で算出され、報酬は回収額で算出されるので、請求額以上の回収などあり得ませんから、最大限の格差で1%分しか違わないのです。裁判の帰趨や相手方の経済状況などで回収の経済的利益が変動することを考えれば、トータルの金額で、従前の着手金・報酬の金額を下回ることだってあるのです。

逆に言えば、過払いは完全成功報酬制で、20%あるいは18%という広告をしている事務所もあるようですが、私の経験上、裁判をして、その報酬比率では採算が合わないはずです。
企業努力でカバーしているのではなく、その上の報酬比率帯である300万円以上の金額になるまで、裁判はしない、したがって、事件処理は同じ業者に対し過払いのある依頼者の出現を待つために、総じて遅くなる。過払い取り返して、残債務のある業者の処理を進めるに到っては長期の事件滞留になる(うちだって、裁判で回収してからでないと個人再生も管財費用ももっと言えば申立費用も出ないという場合には、事件が2年、3年になることもあったりします)のか、もしくは、既に貸金業者と合意が出来ていて、裁判をしなくても請求額の6割、7割の回収がすぐに出来る(弁護士にしてみれば、その分たくさんの依頼者を集めればよく、個々の依頼者が損失を被ることなどお構いなし)のいずれかだろうと思います。
もし本当に裁判までやって、その報酬比率でというのであれば、それは素晴らしいことだと思います(が、どうやって事務所経営を維持されているのか、不思議だなという気持ちです)。

なお、今までは、内容証明一本で終わっちゃった、という経過なので、裁判になるかどうかも本当は分からないんですけど。一応キャスコだけの集団になったら、多分、内容証明一本ということはないんでしょう。


追伸
新洋信販に対する戦い方とキャスコに対する戦い方は全く違います。
でも、いずれも会社法の基礎知識は要求されます。
そういいながらも、最近会社法の知識のブラッシュアップをしていないので、時代遅れになっている感がありますね。
独自に研究を重ねます。

再度追伸
キャスコの原告募集告知を
マネーマニアさん
過払い金ゲットブログさん
にご案内いただいているようです。

他にもありましたらお知らせ下さい。
このブログを紹介いただいている上記のサイトと従前から紹介いただいている「冬は必ず春となる。勇気でgo!」さんのブログのリンクに変えてみました。