先日の判例について

先日掲載した公正証書偽造の判例

何が難しいのか、分かりにくいんだそうだ。
素人さんには分かりにくいのかもしれない(まあ素人みたいな弁護士にも分かりにくいだろうが)。
裁判所の認定した事実は、依頼者の説明のとおり。
それだけに、難しさが伝わりにくいのだろう(「こんなに惨い事案なら私だって不法行為を裁判所に認めさせることぐらい出来る。」そう思っている弁護士も多いのだろう)
そのように思った弁護士さん、正直弁護士になるのは百万年早いです。

裁判所が「惨い事実を認定する」ことこそ、上の裁判のすべてであって、認定された事実を前提に法律の評価として「不法行為と評価すること」が難しい訳じゃないのです。
裁判に関する専門性のない市民の皆様、裁判所が認定した事実は、すべて原告側(訴える方)が立証する責任というのを負っています。
素人みたいな弁護士の方へ。裁判所が認定した事実の基礎となった証拠が何か分かりますか?

当事者を裁判所に連れて行って、同じ説明を語らせて、こんな惨い事例が理解できないなんて、裁判所には血が通ってないのか、みたいな裁判をやっても、あの判決は生まれない。
シュプレヒコールは立証活動じゃない。
依頼者の苦痛をどうやって裁判所に届く声にするのか、それこそが弁護士の専門性だと思う。

ということで、あの判決は第1回口頭弁論期日で意見陳述とか言っている弁護士には100万年経っても無理な判決なのです。