お弁当のススメ 今回は嵐山

さて、普段は敷居の高い料亭ですが、本日のご紹介は、嵐山でも有名な料亭が軒を連ねる渡月橋の北詰を保津川上流に歩いていったところにある料亭

ここまで来ると真っ先に思い浮かべるのは吉兆かもしれませんが、その数軒となりにある嵐山熊彦のご紹介です。
実はこの店、観光客にも敷居の低いお店でして、料亭の入り口の横に、茶店スタイルのお店の入り口があって、お昼の営業は予約での会席でないかぎり、そちらの茶店スタイルのお店で頂くことができます。
予約も要りません(予約するにこしたことはありませんが)。
そこで頂くことのできるまっとうな料理人の仕事、松花堂弁当(並)3500円(+消費税)を本日ご紹介です。


定番の松花堂スタイル。4つの仕切りに、それぞれ異なる味付けの異なる調理法の料理が。
普通は、どれか一つがご飯物なのですが、ここのは4つとも料理で、ご飯は後からきます。

1個ずつ紹介

まず、八寸のお部屋です。
八寸が演出するものは季節感です。アヤメに形に似せた茶巾包みのものが何か今ひとつ分かりませんでした。
小さな容器に入っているのはごま和えの湯葉だったと記憶しています。
かりっと揚げたレンコンせんべいは、香ばしさと食感を担当しています。八寸をよく見てください。食感が一つ一つ異なるように調理法を変えて、味付けも似通ったものを併せないことで、多種多様の味と食感の楽しさを演出しています。


写真はお造りです。
京都は山の中ですから、海沿いの港町でお魚を食べるよりも、お店による魚の味の違いというのは店ごとに分かれるものです。
お造りで見極める店の味とは、どれだけ上質の魚を仕入れているか、ということです。
生のお魚ですから、素材の味しかありません、まさにごまかしようがありません。
したがって、お造りは一流を自負するお店は、その店の仕入れの質を示す大事な一品であることを理解しています。
写真の鯛、5月に入ると、どうしても産卵期を迎える鯛の味は落ちるものですが、そのなかで味を落とさず、また身が柔らかくなっていないものを仕入れるのはなかなか大変なことだと思います。
写真の鯛のお造りが、魚の仕入れのよさを物語っています。


炊き合わせです。
むきえびとエンドウと鯛の子と海老芋(もしくは里芋)の炊き合わせです。
あんかけになったお出汁で、このお店の顔というべきお出汁の味を試してくださいという一品です。
本日の松花堂において、主役の品をどれと考えるかは客次第でしょうけれど、私は、この一品が松花堂の顔であると考えます。

ごま豆腐です。
炊き合わせがあんかけだったためか、食感がごま豆腐とかぶりました。
また、ここにも湯葉があったため、八寸の小鉢ともかぶりました。
でも、併せる料理が違うので、あまり気にすることもなく頂くことができました。
特にごま豆腐は、えぐみのないすっきりした透明感のあるお味がとてもうれしい。




ご飯はせいろの飯蒸しです。赤だしとデザートで上記のお値段です。
お値打ちです。


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