インターネット取引

インターネット取引における瑕疵担保責任の免責特約の限界について
http://www.kyototeramachi.jp/hanreikashitanpo.html
に、判例を紹介しております。

今はインターネットでの取引が、かなりのシェアを占めるようになりました。
店舗販売に伴う、その場所へ赴くということが物理的に困難な顧客をもターゲットに出来ることから、商取引の分野に革命的な変動と発展をもたらしたことを否定するものではないのですが、

この匿名性が、犯罪の温床、また犯罪に到らなくても、店舗による対面販売では考えられなかったような種類のトラブルを誘発していることは疑いのないことです。

今回は、瑕疵があるにも関わらず、またその瑕疵の存在を知っているにも関わらず、出品者は黙って出品し、オークションサイトも、通常、買い主は一見であるのに対し、出品者は固定客であることが多いという理由で、本来保護されるべき買い主ではなく、売り主の方を向いて、告げてもいない瑕疵につき免責特約を振りかざそうとした事例です。

相手方は、本人訴訟でありましたが、争点は免責特約が有効と認められる範囲についてであり、取引の根幹をなす瑕疵についてまで、特約の主張は許されないのではないかという当方の言い分が認められた事例です。

書いてある物に従う方が、裁判所としても判決を書き易いという悪癖の残る裁判所も未だ散見されるのですが、本件の判決のように、買い主が、知りようのない瑕疵(さらに特殊な事情として、本件では買い手も自動車販売業者であり、言ってみればプロであり商人な訳です)それでも、実際に現物を見ることが出来ないのですから、説明のない瑕疵は知りようがない訳です。

これに対し、自分で確かめるのが原則などという主張もされましたが、これはインターネットによる取引で、対面販売による顧客範囲の限界を超えて、物理的に来店できない地域まで商業範囲にすることの利益を享受する人間の言い分としては不適切であり、かつ瑕疵の場所と内容から、その存在を知らないはずがないのですから、敢えて説明しなかったことにより、何も知らない買い主に損害を与えることは許されません。

法律上は、瑕疵担保責任における572条の知りながら告げなかった場合、もしくは570条の「隠れた」瑕疵ではないという争い方をすることになりますので、別に本判例は、法律に従っただけで、超法規的に救済された訳ではありませんが、やはり、法律の条文の「本則」ではなく「例外規定」を根拠にする裁判というのは実務の場面では色々と面倒な主張立証を要求されるのです。

このケースでは、上記の条文の適用を裁判の本線とするため、出品者を提訴しましたが、本来、このケースで真っ先に攻められなければならないのは、もともとのオークションサイト運営者であり、また入札者の代行業者でなければならないのです。

ネット取引の買い主など一見に過ぎず、何をしても許されるという発想では、いずれそのようなサイトは見向きもされなくなるでしょう。
買い主あっての売り主であり、仲介者であるということを肝に銘じて欲しいものです。


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