日本酒の宴

さて、総じてアルコールは苦手ですが(もはや説得力はない?)、和食に光が当たって欲しい、和食が無理矢理ワインにすり寄るようなことはして欲しくない、その一心から、日本酒などを積極的に取り上げております。
ワインはワインで、その高級感を別のところで利用してますが。
ということで、ある日の宴から、正確にはちょっと仕事でいやなことがあったので、くだを巻くために、日本酒などを開けてみました。
 本日のお酒は、私の故郷山梨県の蔵元「七賢」のフラッグシップ、「中屋伊兵衛」です。大吟醸で、醸造アルコールが添加され、純米大吟醸ではありませんが、澄み切った飲み味です。含み香が消えるのがちょっと早い気がしますが、不快な味や臭いがないので、私は好きです。

私好みのお酒リストの中に加わります。

 全体の風景はこんな感じ。
どうせやけ酒なら、しつらえに懲りましょう。
いつもの畳表のテーブルマット、根来の折敷、古九谷の徳利に、黄瀬戸の杯は定番です。

 アップに致しましたのは、北野天神前の藤野の豆腐を織部写しの楽の鉢に、ブリの胃袋の塩辛を九谷の手塩皿に。
ブリの塩辛、ゆずの風味も手伝って、ご飯のお供にぴったりです(お友達は酒のアテにちょうど良いと言ってました)。
小瓶に入っていましたが、あっという間にほとんど無くなりました。次の金沢出張の時にまた購入です。

 筍と若芽の炊いたん。通称「若竹煮」です。
器は、本当は土物があうと思うのですが、あまりに使うタイミングがないので、楽の皿を使ってみました。
元々は裏千家11代玄々齋(だったと思う)好みの引杯の図柄なのですが、引杯ごとモチーフに12代の弘入が楽の器にしたというものです。表面に銀箔を貼り、所々が剥げてきたことで侘びた雰囲気が出る器です。

 サンマの南蛮漬けです。サンマを見ると、気仙沼陸前高田の水産加工場が被害にあったことを思い出してしまいます。日本人ですから、サンマが大好きです。目黒のサンマの殿様と佐藤ハチローだけがサンマを食べている訳ではありません。
酢の物との相性がよいのが日本酒の特徴ですね。ワインではケンカしまくりです。

 イカ刺しです。スーパーのイカ刺しは本当に残念な限りです。ぬちゃぬちゃした食感が、食欲を減退させます。ショウガと醤油で無理矢理押し込みましょう。
器は、近代工芸の備前だと思うのですが、良い土を使っています。今の備前の土はどうしても、良い土がなくなって、目の粗い土が多いのですが、写真の器は本当にきめの細かい粘土質の良い備前の土です。分銅の印があり、いわゆる備前六姓の一つ「金重」の窯印です。

 だし巻きも異様に甘かった。小麦粉が入ってるんちゃうかと友人が言ってましたが、パンケーキを見た目だし巻きにしたという感じでしょうか。これも残念な限りです。スーパーの真空パックだし巻きはハズレる確率が高いのかも知れません。
但し、器は、美術品級です。古備前です。