不動産の評価

多重債務の相談を受けていると、どうしても、「自宅だけは・・・」という話をよく聞くことになります。
実際、これが手遅れの原因になる理由の一番大きなもののような気がします。

住宅ローンがあって無理をする。
保証人には迷惑を掛けられない。

債務者が手遅れになる理由はほぼ上記の二つのうちのどちらかです。

住宅ローンに関しては個人再生という手続がまだ、多少手助けになること「も」あります。
「も」というのは、5分の1にした返済額すらも家計から捻出できないでしょ、ということもあるからです。
でも、大丈夫ですから、と言って、1年後くらいに、債権者から計画に従った返済がありません、という連絡を受けてしまいます(「だから無理だって言ったのに」という話になるのですが)。

保証人に迷惑が・・・はそもそも保証制度を抜本的に変えないと、負の連鎖を生み出すだけで、社会経済的にも何のメリットもないですが。

さて、債務者が、法律に規定された手続をしようとすると、時々、資産が「ありすぎて」障碍になるということがあります。
多重債務と相容れないこの事実ですが、結局生活のためのインフラを過剰に資産評価していることに問題があるだけで、返済原資ではない資産の評価のあり方を抜本的に見直さないと、何の意味もないのです。
生活保護の予算が国の財政を圧迫するなどと言っては、生活保護を悪者扱いしようとしていますが、こういうところをきちんと見直すことで、そもそも強欲金融が根こそぎ引っ剥がす後で、生活保護による救済しかなくなるという場面を減らすことから対応していく必要があるのです。
現行の制度の中でも改善は出来る部分ですが、まず、現状に真っ先に直面する実務の専門家が高い職業意識をもって、この問題に取り組む必要があるのです。そうやって問題を顕在化してこそ、立法の問題として問題点を国民の間に共通認識として持ってもらえると思うのです。

不動産の共有持ち分の評価は、そういう高い問題意識に基づいて、裁判所に楯突いてでも、声を上げなければいけないと思った事案です。
誰もそういう意識を持たないことに強い危機感を持ちますが、一人でも多くの人に、この問題意識を共有してもらえたらと思います。

そういう事案を
http://www.kyototeramachi.jp/
にてご紹介中です。

結局自分の実績の自慢みたいな話でしたね。

8/24 追伸
個人再生手続の極限事例も、右の「京都寺町法律事務所」のHPでご覧になれます。
下の弁護士なんかとは格が違います。
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