裁判を山登りに例えてみる

まーた反感を買うようなコラムになるんでしょうかね。
裁判の難易度を山の標高の高さや季節など、山登りに伴う困難性の条件に例えてみましょう。
このブログやHPが時々取り上げられているブログでは、険難な山登りにガイドが必要で、ガイドの技術によって登れる山も変わってくるという話が以前ありました。

まあ、正確に言うとですね、
ガイド登山に当てはまるのは司法書士の「文書作成代理」の方なんですね、本人も法廷に出て裁判の当事者になるので、
これに対し、弁護士というのは代理人として裁判をするので、証人尋問など当事者本人を証拠方法として裁判所に示す場合以外は、自分一人で裁判をしている訳なんです。

ガイド登山はどんなに頑張っても、一緒に登るクライアント本人の体力の限界が登る山の限界です。
つまり、ガイド登山では基本的には登るのも厳しい山が存在するのも事実だと思って下さい。

話はここから、弁護士による裁判、つまりガイド登山ではなく登山家としての山登りの話に移ります。
当然登る山の限界は登山家(弁護士)の体力・技術の限界により決まります。
今登山の世界では、アルパインスタイルによる少人数での速攻登山が主流です。このアルパインスタイルと対極のスタイルが極地法と呼ばれるものです。
後者は、大人数でチームを組み、食料その他の物資を麓から分担で運び上げて、チームの中での一人か二人がサミットプッシュに備えるというものです。
裁判の世界でも、実は極地法のように大人数でチームを組まなければ対応できない裁判というのはあります。検討しなければならない証拠が多すぎる、膨大な資料の検討のために膨大な時間を要するなどの場合、チームのアタック隊をサポートする人数が一定数いなければ、裁判になりません。それはアプローチまでの距離が長く、一人あるいは少人数では、その道中と登山中に必要な物資の全てを運搬できない、例えるなら懐の深いヒマラヤの8000m級の山に登るようなものです。これらの山にアルパインスタイルで登る登山家もおりますが、サポートの必要性は同じです。
で、この極地法登山ですが、重要なのは隊長の資質です。隊長というのはチーム全体の方向をコントロールする司令塔であって、自ら山頂に立つことはほとんどなくむしろベースキャンプで全体を俯瞰し、適切な判断を下す人を言います。

一体何の話か?
ここでまた武富士の裁判です。例えるならば、ヒマラヤの8000m級の山に登るようなものですが、この裁判を実際に行っている人たち、極地法ではなく、当然アルパインスタイルでもなく、いわゆるグループ登山です。
全体をコントロールできる隊長を持たず、隊長の指揮下にあって、チームが自らの役割を果たす訳ではなく、なかよしこよしで裁判しましょ、というスタイルです。
しかも、理論武装も全くせずに、ただ税金還付訴訟の時の最高裁裁判官の補足意見で、本来なら被害者に返されるべきお金だと発言されたことを「自分たちへの追い風」と勘違いして、ノリで裁判をしているのです。
山登りに例えるならば、Tシャツとジーンズとスニーカーで山に登ると言っているのと同じです。

彼らは少なくとも国内の3000m級の山には登ったことがあると思っているのかもしれません。しかし、それはロープウェイ(最高裁判例が出ている事案)のあるコースにおいてロープウェイに乗ってでの話です。ロープウェイを使えば、Tシャツとジーンズとスニーカーでも山頂までたどり着けます。そこからの眺めは絶景でしょう。しかし、自分の力で麓から歩いてたどり着いた訳ではないのに、自分たちの力を過信するのはおかしいのです。

私はアルパインスタイルで山を登っている人間、それも単独行での登山なので、彼らの今回の武富士に対する裁判が全く理解出来ないのです。
武富士の裁判はヒマラヤの8000m級の山登りに例えて良いくらい裁判としては、膨大な時間と費用を要求されるもので、アルパインスタイルの単独行の私には登ることは無理な山です。
しかし、その山にTシャツとジーンズとスニーカーで、グループ登山で登ろうとしている人たちに、「私だって無理だから、あなた方には当然無理」だと説明するのは簡単なことです。
登る山の麓にたどり着く前に遭難するでしょう。


追伸
本日また「キャスコ(プライメックスキャピタル)」だけ難儀しているのでお願いできませんか?
という問い合わせ。
出来ないならつまみ食いするなよ、と思うんだが、本当にサルに何を言っても無理なんだろう。